ICM コンセプト
知的資本経営とは
果樹の価値とは何でしょう。
多くの人は果実だけを見て、果樹の価値を決めがちです。つまり、大きな実を数多く実らせた果樹の価値は大きく、そうでない果樹は価値が少ないと判断します。それはそれで間違いではありません。
しかし果樹栽培のプロは違います。果樹の根を見るのです。
太くてしっかりした根を張った果樹は、害虫や台風にも耐え、糖度や栄養の多い果実を実らせます。そのためには有機肥料などで土を豊かにし、根をしっかり張らせる努力が必要です。そして、力強い根の上に、太い幹が伸び立ち、葉が十分に生い茂り、大きく甘い果実を実らせる。そんな果樹が真に価値のある、強い果樹なのです。
果樹にとって、しっかりした根がすべての基本なのです。

会社を果樹に喩えると・・・

ここで説明した果樹を、会社に置き換えて考えてみましょう。
果実に相当するのが財務的な成果、つまり売上高や利益額や株価です。多くの人は、実る果実で果樹を評価するように、外から見えやすい財務的な成果で会社の善し悪しを判断します。しかし、これは会社の表層のみを見ているに過ぎません。
それに対して、本質的な会社の価値である根っこの部分に相当する価値を「知的資本」といいます。知的資本としては例えば、勤労意欲と能力の高い社員、明快なビジョンと戦略を描く経営者、キラリと光る独自の技術力、安定した効率よい業務システム、顧客から得ている信頼、取引先との建設的な関係、名の通ったブランド、などが該当します。
これら知的資本は、外からはなかなか見えません。しかし、この会社の根っここそが、将来の果実を実らせ、また市場環境の変化に耐える力を生むのです。
果樹の幹や葉は、企業戦略や企業活動に相当するでしょう。地下に張った根に沿った形で、幹を伸ばし、緑の葉を茂らすことで、豊かな果実を実らせることができるのです。
知的資本経営とは、会社の根っこを強くする経営
知的資本経営とは、会社の根っこである知的資本の強みを活かし、公器としての会社の姿に磨きをかける経営手法です。
知的資本経営では「会社の価値の源泉は知的資本にある」と考えます。顧客からの信用や評判、業務ノウハウや技術開発力、経営者の独創性や社員の能力やスキルに、価値があると考えます。知的資本経営では、それら知的資本を強化し、価値の源泉の力を高めることを目指します。
そして財務的な成果は、良い会社を目指した結果としてついてくるものであり、直接操作できるものでも、すべきものでもないと考えます。
知的資本経営は決して甘い経営ではありません。根治が望めない腐った根は引き抜く必要があるでしょう。その一方で、今はか弱くても、育つ見込みがある根は根気よく強くし、根の張ってない部分は地道に根を伸ばしていく努力が必要です。時間もかかりますし、華やかではありません。しかし、このような努力こそが、会社という果樹を強く大きくするのです。
知的資本経営は、会社を一つの有機体・生命体として捉えます。
果樹の根・幹・葉・果実はそれぞれが関係しています。別々に切り離したり継ぎ足したりはできませんし、果実だけを大きくするということもできません。会社も同じように、全体像を見ずに人的資本だけを取り外して交換することも、知的資本を改善せずに財務的成果だけを改善することはできないのです。
会社の体力と自己治癒力を高めよう
今までの経営手法の多くは病巣や患部を直接的に取り除こうとする外科手術に、知的資本経営は会社の体質を徐々に変えていこうとする漢方療法に喩えることができます。
外科手術が有効な場面も多々あります。交通事故で担ぎ込まれた怪我人には、何はともあれ止血手術が必要です。例えば、収益が極端に悪化し資金がどんどん流出している会社、また技術革新で現行製品が急速に陳腐化してしまった会社など、外部環境の変化が非常に大きな場合は、緊急手術に相当する大胆な戦略転換も必要です。
しかし、金銭価値唯一論な会社観に基づくと、ともすると無理にでも強引な手術を強要しがちです。手の調子が悪いなら、手を切ってロボットアームを付けろ、それで体重が重くなって駆け足が遅くなったら足も切ってエンジン付きの車輪に付け替えろ、と言いかねません。これでは身体が良くなるわけはありませんし、仮に良くなっても身体は元の当人とは全く別物になってしまいます。
身体の調子が悪いとき、そのほとんどは風邪などの軽い感染症や成人病などの慢性病です。確かに病態が急激に悪化したら対症療法的に外科手術も必要でしょうが、安易に手術を繰り返すと基礎体力が衰え、より病気にかかりやすくなります。
病気にならないように食事や運動に気を付け、病気になってからも漢方療法などを中心に自然治癒力を高め回復を志すのが、本来あるべき姿ではないでしょうか。そのように日常の健康に気をつかい、体力と自己免疫力を高めることで、より健康で自分らしい生活を手に入れ、長生きすることができるはずです。
会社も同じく組織体質の改善を図る知的資本経営によって、より長期的に持続的に成長することができるのです。

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